所在地 :岐阜県岐阜市
 敷地は、岐阜市近郊の主幹線道路から一歩中に入った周りにはまだ田畑が残る典型的な新興住宅地である。その中にあって、コンクリート打ち放しと、屋根と一体になった赤みがかったレッドシダーで覆われた外壁が特異な建物で、ひと際目を引く。しかし、木の持つ温かさが周りに違和感を与えていない。
 クライアントの「家の中でピクニックをする」という希望を叶えるため、周辺のプライバシーを守るための中庭をつくる手法はよくあるが、開放感の在りかたをどのように考えたのか興味のあるところだ。
 道路に面した南側以外は全て敷地いっぱいで小窓のみとし、中庭に面した1階は、デッキテラスにつながる掃出しの大型ガラス戸となっている。  外観は、間口いっぱいに確保した駐車場の屋根と、住宅玄関の庇をシンプルな一直線とし、中庭に鋭く切り込んだ屋根が、30代後半夫婦の若々しさ、住むことへの楽しさが感じられる。中庭に植えられた1本のメインツリー(コハウチワカエデ)や、駐車場屋上に上がる鉄骨らせん階段、その先の屋上デッキテラス、どれもみな工夫を凝らしたセンスの良さが感じられる。
 1階レベルは前面道路より1.2m上げ、ガレージのボリュームは出来るだけ低く抑え、居間までの奥行を確保することにより、圧迫感がない。  図面審査の段階で、あまり広くない中庭で尚且つ2階から連なる深い庇を巡らし果たしてどんな感じかが皆の興味を引いた。現地を訪れた日はあいにく曇り空であったが、設計者が意図した「公の空」「私の空」を納得させる心地良い明るい空間となっている。
 2階は、階段ホールの吹抜けで上下階のリビングを連続させ、パブリックな空間に開放感を持たせている。2階に上がると、この建物の特徴である屋根の形態が、インテリアとして目に飛び込んでくる。夫婦それぞれと子供たちの個室ベッドルームは、ロフト感覚で斜めの壁面にとられた天窓のような窓から眺める「私の空」は、バンガローにいる気分を味わうことが出来る。
 クライアントと一緒になってこまめなメンテナンスを期待する。
(山田 貴明)
主要用途 専用住宅
構  造
木造+鉄骨造
階  数 地上2階
敷地面積
347.11u
建築面積
189.41u
延床面積
267.02u
設計者  武藤圭太郎建築設計事務所
施工者  株式会社 雛屋建設社

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