所在地 :富山県高岡市木津113−1
  高岡市の郊外に位置する200 世帯の新興住宅街に、まだコミュニティーが芽生える前の環境の中で昨今希薄になりがちな地域住民のかすがいとなるコミュニティーセンターと公園が出来上がった。
 芝生をメインとした公園に面して、全面ガラス貼りの開口部で公園と一体化され、浮遊したように見える大きな屋根の下には解放された空間の連続ではあるが、への字に角度を変えることで、つながりながらもキッチンやたたみコーナーなど用途に応じた使いができる居場所(たまり場)があり、公園から可視する事で普段使いとしての利用を促している。
家形をした開口部や庇のデザインは、家に居るようなスケール感を作り出し、和む場所となっている。
 設備面では、コミュニティーセンターの温熱環境を担うアースチューブシステムを採用しており、寒暖差を和らげる快適性とエネルギー消費抑制面も配慮されている。
 雪の多い地域なので、1.5mの雪荷重に耐えうる剛性が必要となる。大きな架構スパンを確保する高さ3mの変形トラス梁構造となっており、トラスの形状に沿って木ルーバーを設けている。そのモチーフは高岡市の伝建地区の金屋町で見られる千本格子(さまのこ)をオマージュしており、ダクトや空調機器類を隠しつつ格子越しの奥行き感と、昼はトップライトの光、夜は照明の明るさを和らげながらホールに届く。光は開口部やガラスを透過することで夜は家形のモチーフが浮かび上がり地域のランドマークとして存在する。日常的な使いができるコミュニティーセンターは、格子天井から注ぐ光の奥行きや陰影は非日常的で美しい空間を構成しており、住民達の集いを促す吸引力となっている。
(川口亜稀子)
主要用途 公民館と公園
構  造
木造
階  数 地上2階
敷地面積
430u、公園 2,800 u
建築面積
229 u
延床面積
235 u
建築主  木津の庄 自治会
 自治会長 荒井 毅
設計者  富山大学芸術文化学部
 建築デザインコース
 元教授 貴志 雅樹
 講師 横山 天心
施工者  松原建設 株式会社
 代表取締役社長
 松原 悠大

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