所在地 : 岐阜市大工町1
 長良川に面する敷地に、2つの小学校の統合によって一学年2クラスを基本に新築された小学校である。プロポーザルの後に当時の校長先生の提案によって、1階に職員室や図書室、特別教室などの共通機能をまとめ、2階に普通教室をまとめる構成に至った。そのため、1階は天井を貼らず高天井の空間が広がり、のびやかな空間が確保できている。場所によってはやや暗く感じたのは、長良川堤防に近接して計画しなくてはならなかったことが影響していると考えられる。2階は2つの教室で一つのワークスペースをはさむユニットが東西方向に2列に並べられ、その間に階段などが挟まれる明快な平面構成である。階段は十分な広さを有し、トップライトからの光もあり、明るく、また上下を視覚的にもつないでいる。
 興味深いのは、通常は教室四隅に出てくる柱を振り分けることでコーナー部分をオープンにしたことである。これによって周辺の空間と様々なつながりが生まれることになり、子どもたちのアクティブな動きを生み出している。椅子などの家具も校舎設計に合わせてデザインされた。フロア全体に一体感があり、子どもたちの楽しそうな表情にこちらの表情も和んでくる。
 屋上はウッドデッキが張られた空間である。全体が見渡せる大きな屋上庭園ではなく、下の教室配置のパターンと対応するように分節しながら空間がつくられており、休日も屋上まで教室階を経ずに行けるような動線が確保されている。ここからは長良川と金華山が見渡すことができる。子どもたちや地域住民にとって、地域のアイデンティティを強く感じさせる場所である。
 そんな場所がある学校を手に入れた子どもたちと地域の方々が羨ましく思う。残念ながら今のところ、この屋上は当初の想定のようには使いこなせていないと聞く。今後、この校舎のもつ潜在力を最大限引き出すような、学校と地域関係者の創意工夫を期待したい。
(小松 尚)
主要用途 小学校
構  造
鉄筋コンクリート造  一部鉄骨造
階  数 地上2階 塔屋1階
敷地面積
14,533.00u
建築面積
3,069.05u
延床面積
5,519.68u
建築主 岐阜市
  岐阜市長 細江 茂光
設計者 大建設計株式会社 
  代表取締役 鈴木 栄嗣
施工者 大日本・内藤特定建設工事共同企業体

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