所在地 愛知県西加茂郡三好町大字黒笹字寺山1247 |
HX(エイチテン)と称するこの建物は、賃貸マンション(ワンルーム)とオーナー住宅の複合建築である。敷地は新興住宅が立ち並ぶ市街地の一角で、名古屋〜豊田を結ぶ私鉄沿線にある。雑然とした街並みの景観の中で、この真白な箱の外観は特に違和感はないが、目立つ存在であり、工事中から注目される存在感を示していたそうである。 「真白でミニマムな箱と壁」で構成されたこの建物は、設計者の追求するシンプル性に当然のことながらかかっている。これは外観ばかりでなく、内部空間のあり方にも徹底追求し、成功を収めている。金物やサッシのディテール、外壁の打ち継ぎ、水切りの納まりなど注意深く設計され、神経を使った結果が出ている。 施工にも十分な時間をかけていると思われる。平面的には中心にVOID空間を設け、ほぼ左右に賃貸マンションとオーナー住宅を配置し、構造的にも二棟に分かれているのだが、それを上手に意識させないで一つにまとめている。ここにも設計者の意欲が感じられる。できるだけ生活臭をなくすため、バルコニー等をガラススクリーンやルーバーで処理したことが特徴であり、デザイン力が評価される。 住宅やマンションといった日常的な生活空間を簡素に、シンプルに、一つのマッスとしていかに表現するかという設計者のチャレンジは、入居条件が高いにも関わらず、全室入居されているということで目的を果たしているのも一つの証であろう。 ( 田 中 楯 夫
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