VILLA NAGANO

所在地 :長野県北佐久郡
 初期の近代建築のイメージは、自然を征服していく人工的な造形物であった。自然を克服していく文明のパワーが雄々しく描かれていたりした。
 いま自然環境のなかで建築をつくることになったとき、同じ発想でデザインしていくことも不可能ではないと思うが、そうした克服的な手法によって失われることになる自然環境をむしろ尊重する発想や姿勢のほうが、現代に生きる人間にとってはるかに大切なことであるのは明らかなことだと思う。
 自然環境と共存するデザイン手法はいろいろとあるはずであるが、まずは風土や地形をよく把握することが原点だと思う。
 軽井沢の別荘地の広い区画の一角に建つこの住宅は、セカンドハウスでもありファーストハウスでもあるという位置づけ等もあってそれなりに余裕のある床面積となっているが、それを活かしてシークエンスとピクチャーを巧みに取り入れた方法でデザインがまとめられている。
 各部屋をつなぐ廊下は、単なる機能的なだけの移動空間ではなく、屈曲した道のように周囲の自然の姿や部屋のなかを眺められるように考えられており、この住宅の幹になっているような感覚である。リビングルームや個室の外壁に大きくあけられたピクチャーウィンドウも同じように木立の姿を一枚の絵画のように眺めるものとなっている。画面サイズや、レベルなどを巧みに変化させながら、一連の自然のなかに変化のある風景を並べているのは、さながらギャラリーのような印象でもある。
 このように内から外への視覚的つながりが魅力的になっているのは、平面と断面の変化に基づいている。地形の状況にあわせた緻密な設計や現場での調整があればこその結果になっているように思う。
 外見も内部も洗練されたデザインで、言ってみればアーバンでスタイリッシュなタイプだと思うが、自然との融合感と相まってクォリティの高い建築となっている。
(関 邦則)
主要用途 一戸建ての住宅
構  造
木造
階  数 地上1階
敷地面積
2,391.37㎡
建築面積
295.94㎡
延床面積
274.71㎡
設計者 宇野 求 池村 圭造 加藤 征寛
施工者 第一建設株式会社

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