審査総評
 今回4年の任期で審査委員長のお役目をお引き受けしました。公募は55(一般)、58(住宅)で、総計113で歴代でも高い応募者だったとわかったので、少しほっとしています。
 学会賞やBCS賞に続く、価値のある賞だとお聞きしていましたので、大変興味を持って見ました。特筆すべきは、住宅のジャンルの設計家の方達のレベルがかなり高いということで、12の方を入賞、入選とさせていただき、入賞が8もあったということです。また入選しなかった人でもかなりレベルが高いという感じがしました。少し残念だったのは、集合住宅や人が集まって住む建築の提案作品が少なかったことです。
 一般の建築は入賞が4、入選が4、特別賞が1という結果でした。入賞の4案はそれぞれ個性があって、デザイン的にも空間的にも、全国レベルで考えても、かなり高いレベルだと思いました。私は今度の審査をする時に

@ コンセプト、プログラムがしっかりしていて実際の建物になっても、それが継続しているかどうか。
A 人が集まったり、居心地が良い雰囲気や空間になっているか。
B 形のための形を目指すのではなく、デザインの基本が形(shape)ではなく、型(form)に置かれていて、出来上がった建物にそれを感じるか。
C 構造までアイディアが至っているか。環境やエネルギーを考慮した建築になっているか。
D 身体性(somethtic)が感じられるか。

 等々の視点で見ました。確かに住宅はその施主さえ説得すれば良いということもありますが、それはそれなりに大変です。今度の入賞、入選を見ると、一般建築にも中部建築賞の住宅の建築家達が持つ空間の質やこだわりがあっても良いと思いました。自分でも事務所の人達に、私達が設計する建物のエントランス100uくらいの中に情熱と考えられない時間とアイディアを盛り込む住宅の設計者の人達がいる、ゆめゆめそのことを忘れずに一つひとつの部屋、一つひとつの空間にその建物しかない何かを入れたかと話しています。難しいかもしれませんが、運よく大きな建物に辿り着いた建築家は更に努力して箱ものを超えるべきだと話しています。
 次回の応募作品のレベルがもっと上がって、中部から日本をリードする建築が生まれてくるのを期待します。
(新居 千秋)

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