所在地 : 愛知県安城市
 安城の中心地に近い比較的良好な住宅地の角地で、子育ての時期をほぼ終えた施主夫婦がこれからの生活に思いを馳せながら、若い2人の設計者とともに取り組んだ住宅である。
 図面をみるとコートハウスの形式であるが、現地を訪れると、まず平屋としての佇まいが印象的である。コンクリート壁、水平線を強調した軒、横張りで抑制の効いた木の外壁面がバランス良く構成されている。 内部に入ると、中庭を中心に心地良いスケール感で構成された空間が目の前に広がる。足を進めて居間のイスに座り、中庭に視線を向けると、それまで見えていた周辺の住居が消え去り、大きく広がる空と石が敷かれた中庭、そして書庫や和室などが中庭を心地よいスケール感で包み込んでいる。さらに、向かいの書庫からは、窓越しに数々の本の背表紙が目に入り、「我が家」としての一体感が伝わってくる。 居間やダイニング、寝室、書庫、和室などが中庭に面し、生活の気配が柔らかく共有される一方で、その一皮外にはキッチンなどの水周りやウォークインクローゼットが配置され、有機的に接続されている。キッチンの片隅には小さな書斎があり、住居外部や中庭に向けた視線の抜けによって、内外の様子を感じとれる連続性を生み出している。ここから街の風景を楽しむのも一興であろう。また、施主が医者であることもあって、老後に居間で介護ができるように、奥の納戸に将来水周りの設備を設けられるような準備もされている。 さらに、この住宅の重要な設計コンセプトは「2つの庭」である。ひとつは中庭であるが、もうひとつは前面道路に面したオープンな庭である。この庭がやや閉鎖的な表情の建物立面を和らげ、引き立てている。また、この庭は施主からこの街へのメッセージでもあろう。木々が成長した5年後、10年後、どんな風景が生まれているだろうか。楽しみにしたい。

( 小松 尚 )
主要用途 専用住宅
構  造
鉄筋コンクリート造 一部鉄骨造
階  数

地上2階

敷地面積 577.00  u
建築面積 243.90  u
延床面積
220.33  u
設計者 I.M.A.
施工者 株式会社 ナカシロ

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