富山湾に向ってゆるやかに傾斜した、早月川扇状地。周囲には田畑が広がり東に立山連峰を望む田園地帯にあるゼロックスのトナーの国内唯一の工場で土日もなく全国に配送されている。5年前に第1期計画として立ち上げた工場の第2期計画で、化学工場の悪いイメージを周辺地域に与えないように、新たな現代の工場としての配慮が企業のイメージとなるよう建築主、設計者、施工者が一体となって構築している。全体の配置は北東隣地にある他社工場に隣接するエリアに生産の一番ヘビーな部分を設置し、周囲に民家が点在する前面道路側は来客の多い管理機能を配し、外部からは見えにくい敷地の中央部を物流のトラックが走り、天候に影響されないで作業ができるよう入出荷ヤードが内蔵されている。設備的には工場の排水排気の処理はもちろん、事務エリアでの全熱交換器を直接外部に出さず、非空調エリアに排気することで温熱環境改善を行なうなどのＣＯ2排出量の軽減化、デザイン上も特徴となっている道路側の縦ルーバーによる太陽光の調整、など様々な工夫が見られＣＡＳＢＥＥ　Ａランクを取得している。高い塀を作らず芝、低木による緑化、植樹による並木の形成など洗練された外構デザインとして目に触れる部分だけでなく計画のコンセプトそのものが周囲の環境に気を使っていることが読み取れる。全体の建物を印象付けているオフィス部分のデザインは機能的な配慮のみに留まらず威圧感を抑えた清潔感のある軽快な仕上がりになっており、企業イメージに貢献している。