所在地 : 愛知県名古屋市西区則武新町三丁目1−36
 JR名古屋駅から北へ約700mはなれた市街地に、この施設は位置する。我が国の洋食器生産の草分け的存在であるノリタケカンパニーリミテドが、創業地で計画したコンバージョン施設群とランドスケープから成る複合施設である。この計画は創業100年の間に培った「企業文化」と「地域貢献」の精神を基に、さらに未来に向かって躍進することを願うと同時に、名古屋の新しい商業空間の創出と都市における自然回帰をも込められている。
 コンバージョン施設としては、創業期に近い時期に工場の一施設として建築された煉瓦造の建物を改修してノリタケグループの展示場としたものと、戦後建築の建物群をリニューアルして、ショップや展示・見学施設から構成されている。特に煉瓦造の建物は、永年の使用により改築と改修の痕跡を残すことで、かえって歴史性を感じさせている。
 この施設の建設に際して、煉瓦窯や煙突の解体で発生した大量の煉瓦塊を産業廃棄物とせず、ランドスケープの一角を担う煙突ひろば(芝生)との境界の擁壁に再利用されており、たいへんユニークで当を得たアイデアである。
 また敷地周辺は工場や雑居ビルなどが多く点在していたため、この敷地全体を「都市の森」の創出を強く意識して、緑豊かな都市公園として地域開放され、市民や野鳥の憩いの空間を提供していることに敬意をはらいたい。そして、すぐ近くに位置するトヨタ産業技術館と併せて、我が国の近代産業遺産の集積地となっていくことは疑いの余地はない。
( 中 森 勉 )
主要用途 博物館、商業施設、公園
構  造
鉄筋コンクリート造
階  数 地上 2〜3階 5棟
敷地面積
44,960.00u
建築面積
6,344.12u
延床面積
14,082.73u
建築主 株式会社 ノリタケカンパニーリミテド
設計者 大成建設株式会社 一級建築士事務所
施工者 大成建設株式会社 名古屋支店

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