所在地 : 愛知県豊田市白山町七曲12−33
 この施設は日本赤十字社の中部地方における看護教育の拠点であると共に、大規模災害の救護活動の拠点としての役割を担っています。その目的から、医薬品、非常用食料、テント、毛布といった災害物資の備蓄はもちろん、その搬送や、被災者受け入れのためのヘリポートまで備え、尚且つ教育施設を兼用して医療活動までできるように計画されています。さらにこの地にまで被害が及び、都市ガス等のインフラが断絶されても3日間の連続運転が可能なシステムを備えています。このように看護師を育成するための、講義、実習、研究といった大学施設のみならず、大変重要な役割を持っています。
 敷地は小高い丘の上といっていいところにあり、南北の高低差は30Mもあります。東西には池があり、街の喧騒からは遠く離れ、緑に囲まれた教育環境としては、申し分のない所に位置しています。建物配置は山の尾根に沿って、南北に貫く主軸を主動線とし、左右に施設を配置しており、非常に明快でわかりやすいキャンパスとなっています。施設全体は東面から大きく採光をとり、明るくかつ、南から北に風が通るように考えられており、エネルギーの負荷を減らすと共に、気持のいい環境となっています。
 インテリアは看護大学にふさわしく清潔感にあふれ、装飾も少なく、すっきりとしていて、温かみのある色調で好感が持てます。全体的にコスト管理が行き届き、無駄なところには一切費用はかけてないように思えました。
 これからのこの種の施設のあるべき姿を指し示しているように感じ、高く評価したいと思います。なお施設の一部が、外部の一般市民にも開かれ、公開講座などに活用されるよう計画されているとのことで、併せて高く評価いたします。
( 本田 伸太郎 )
主要用途 大学
構  造
鉄骨造(一部CFT柱+S梁) 鉄筋コンクリート造
階  数 地下 1階 地上 7階 塔屋 1階
敷地面積
55,188.00u
建築面積
7,628.42u
延床面積
18,221.20u
建築主 学校法人 日本赤十字学園  日本赤十字豊田看護大学
設計者 株式会社 久米設計
施工者 大林・大啓・須賀・住友電設・三栄共同企業体

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