JRセントラルタワーズ

所在地 :名古屋市中村区名駅一丁目1-4
 中部地区の表玄関として国鉄時代より長く人々に親しまれてきたJR名古屋駅は、いずれ未来を志向する新たな機能を備えた姿への転換が求められてきた。この魅力的かつ困難な宿題に関係者が費やした時間とエネルギーを知る由もないが、具体的計画段階に限って遡っても10年をはるかに超す。この英知の結集が提案した答えは、建築の範疇では語り尽くせぬ超高層立体都市である。地上53階、地下4階、高さ245m、延べ床面積42万u、オフィス、ホテル、デパートを内包し、従業員だけでも常時1万5千人が働くという。
 この近代的ツインタワーの平面形は直線と円弧で構成されているため、見る位置によって特徴的表情をみせ、角度によっては寄り添ってシングルタワーとなるなど飽きることがない。東西南北から集まるいずれの幹線上においても、数十キロ先から認知できるランドマークである。かつて群雄割拠の時代に濃尾平野にそびえた名古屋城のごとく、21世紀にそびえる歴史的タイムマークとしても優美な姿を見せる。都市スケールの巨大超高層ビルとしての機能性と、ヒューマンスケールのデザインとの整合性を追求する設計者の思いが多くの技術者に支えられて結集した結果であろう。最も誇るべきは、このとてつもなく巨大な構築物を、1日115万人の乗降客が行き交うJR、私鉄、地下鉄が交錯するターミナル上部に、交通機能を一切停止することなく一切の事故もなく竣工させた施工技術力の高さである。併せて施工過程における建築廃材を通常の50%に抑えるなど、精力的に取り組んだ環境アセスメントも評価すべきである。従来、地下街を都市空間の特徴とする名古屋にあって、空中街路「スカイストリート」を提案し、新たな公共空間が都市の姿を変えようとしている。優美な姿の地下部分には最先端の地域冷暖房システムが、この立体都市への円滑なエネルギー供給を支える。既に、オフィス、デパート、ホテルはいずれもその立地を生かして活力ある企業活動を展開しており、駅周辺の人、もの、交通、エネルギー、情報の流れを拡大し、地域への影響力は計り知れないものがある。  
(鈴木 賢一)
構  造
鉄骨造
一部鉄骨鉄筋
コンクリート造
階  数 地上53階 地下4階
延面積 
416.565u
建築主  東海旅客鉄道株式会社
 代表取締役社長
 葛西敬之
 ジェイアール
 セントラルビル株式会社
 代表取締役社長
 伊庭昌広
設計者 (総合監修)
 株式会社坂倉建築研究所
 最高顧問 坂田誠造

(デザインコンサルタント・アーキテクト)
 Kohn Pedersen Fox
 Associates
 A.Eugene kohn

(設計)
 JRセントラルタワーズ
 共同設計室:
 大成建設株式会社一級
 建築士事務所
 常務役員設計本部長
 横沢国夫
 株式会社坂倉建築研究所
 代表取締役東京事務所長
 瀧川公策
 東海旅客鉄道株式会社
 一級建築士事務所
施工者  JRセントラルタワーズ
 新設工事共同企業体
  代表者
 大成建設株式会社
  代表取締役社長 平島治
 鹿島建設株式会社
  代表取締役社長 梅田貞夫
 株式会社 大林組
  取締役社長 向笠愼二
 清水建設株式会社
  取締役社長 野村哲也
 株式会社 熊谷組
  取締役社長 松本良夫
 株式会社 竹中工務店
  代表取締役社長 竹中統一
 鉄建建設株式会社
  代表取締役社長 永尾勝義
 名工建設株式会社
  取締役社長 藤井 浩
 ジェイアール
 東海建設株式会社
  代表取締役社長 増田 裕
 新生テクノス株式会社
  代表取締役 大内 順
 東海交通機械株式会社

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