大沢野町健康福祉センター

所在地 :富山県上新川郡大沢野町春日字大林割96-1
 この施設は神通川沿いの富山県畜産試験場跡地の5haという広大な敷地に、プール、トレーニングジム、浴場等を持つ健康増進施設と老人福祉施設という異種の施設を一体化して計画され、両者の相乗的な施設利用と閉鎖的になりがちな老人福祉施設を開放するという試みがなされている。
 敷地は水平に造成するのではなく、ゆるやかにうねる大地の面をそのままに利用し、建物は神通川の流れと山間部に吹く風のイメージから、平面的にも、立体、断面的にも、やわらかい曲線によって計画されている。
 S字型にまとめられた平面は、150mという長大なものであるが、RC造の壁面の多い下部構造の上に、細い線材で支えられた鉄骨構造の屋根と透明ガラスの窓とでつくられた軽やかな上部構造という二層の構成は、設計者の意図のように、マッシブなヴォリュームを感じさせない。
 計画の初期の段階から、ランドスケープデザイナーや構造家との共同作業によりクリエイティブで意欲的な試みが随所に見られる。
 内部空間は、下階にあってはRC造で、小部屋が配され、交流スペース等に利用されている巾広く計画された中廊下的スペースは、交流の場としての配置計画は優れているが、少し暗く、落ち着かない印象を受けた。
 ∧型の連続する柱とトラス梁によって覆われている上部にはプールやレストランなどが配され、明るく開放的な空間となっている。
 屋根は湾曲し、曲線を描く南北二面のカーブの曲率も微妙に異なる為、∧型の柱の高さや接合部の角度が異なり、その納まりと作業の効率化等に対する施工面における工夫等も随所に見られる。
 鉄骨の斜材とサッシュとマリオンの垂直線の視覚的な混乱や維持管理面など少しの疑問もあるが、若々しく、さわやかであり、新しい風景を創造している。  
(田中 光)
構  造
鉄骨造+
鉄筋コンクリート造
階  数 地上3階 地下1階
延面積 
8,772.21u
建築主  大沢野町長
 中斉忠雄
設計者  ワークステーション
 代表取締役 高橋晶子   
施工者  前田建設工業株式会社
 北陸支店 執行役員
 支店長 友部雄策
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