富山県国際健康プラザ(とやま健康パーク)

所在地 :富山市友杉151
 「とやま健康パーク」は指名設計競技で選定された設計によって、一部変更はあるものの、特色をなす大きなガラス張り空間を中心に造り出された建築である。規模、外容とも遜色ない建築ながら、見に行く前から関心があったのは、雪国の建築の壮大なガラス張りがどう造り出され、どう使われているか、ということであった。審査当日は、運悪く休館日に当たり、賑わいの実態が残念にも全く見ることができなかった。人が殆どいないがガランとした空間は、温泉施設の遊び場のような雑然としている印象を強く感じた。設計者は、雪国だから緑の樹木が茂る常春の空間を意図して、ガラスの空間を中心にする構想を描いたという。その中心部が展示デザイン風に造り出され、セットの樹木を配した遊園風であるのは健康とどう繋がるのか気になった。プールや温泉、さらに広大な外部空間など、人が動きまわる空間体験の変化や仕掛けがもっとあれば、さらに楽しい空間が現出したのではと思われる。
 大ガラス面の結露については、普通のペアガラスよりも高度な性能を持つという輸入ガラスが使用され、配慮はなされているが、竣工後まだ冬を経過していない段階では、結果を確かめることができなかった。温泉の休憩スペースに配されている、見るからに新鋭の肩揉み椅子など、備品の立派さには目を奪われたが、国際交流や研究などの機能が今後活性化し、発展することができるのだろうかという疑問が感じられた。それは、室名としては機能が存在しながら、実態が見えなかったのが残念であった。企画段階に存在したプランが、経済状況が悪化するなかで、止む無く縮小されたのかもしれない。予算が付き人が配されなければ、プログラムが始動しないだろう。公共建築は、今、難しい課題に直面させられているように思われる。
(坂田誠造)
構  造
鉄骨鉄筋コンクリート造
階  数 地上2階 地下1階
延面積 
10,670.72u
建築主  富山県知事
 中沖 豊
設計者  株式会社 久米設計
 代表取締役社長 櫻井 清
施工者  西松建設・タカノ建設・
 東保組
 共同企業体
 代表者 西松建設株式会社
 中部支店
 取締役社長 竹内直彦
 タカノ建設 株式会社
 代表取締役社長 高野二郎
 株式会社 東保組
 取締役社長 東保和秀

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