愛知県立大学所在地 :愛知県愛知郡長久手町大字熊張字茨ヶ廻間1522-3 |
愛知県立大学のキャンパスは名古屋市内にあったが、もともと県立大学の体育館、グラウンドがあった長久手町に移転し、拡充整備されたものであり、「愛知学術研究開発ゾーン」構想の中核に位置する。敷地は緩傾斜のある広大な丘陵地であるが、敷地全体にキャンパスを広げず、コンパクトにまとめ、敷地の40%以上を保安林として残している。キャンパス計画に関しては、広大な敷地全体に施設を分散配置して使用する方法と、この作品のように施設をコンパクトに配置し、学生や教職員の移動を容易にして交流を活発にすることを狙ったものも最近見られるようになってきた。敷地は施設ゾーン、スポーツゾーン、教職員住宅ゾーンと、それらを囲む緑地ゾーンからなる。学部組織は、文学部、外国語学部、情報科学部の3学部12学科の構成で、大学院は国際文化研究科があり、情報科学部にも大学院設置の計画がある。また、生涯学習への対応として、昼夜開講制を導入している。 大学の正門を入ると、前面にプロムナード広場が広がり、その周囲に3〜4階の低層の管理棟、講義棟、図書館、講堂などと、7〜10階の高層の3学部棟の施設が、四角いグリッド上に組み合わせて配置されている。これらの施設は、広場の周囲を取り巻く回廊により繋がっている。図書館の北側に、食堂に沿って広がる芝生広場は、くつろぎを感じさせる空間であり、プロムナード広場の雰囲気とは対照的である。各棟の外装仕上げは45二丁掛磁器タイル、600角大型タイル張りを基本とし、一部コンクリート打放しで、全体として統一感を保っている。 少し疑問の感じられるのは、講堂の稼働率など施設の有効活用、管理上の都合がやや優先されていないかといった点であるが、キャンパス全体として、景観にも十分配慮され、よくまとまった計画がなされており、中部建築賞の入選の価値はあるものと判断できる。 |
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(松下聡) | |||||||||||||
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